ダニエル・ベルヌーイの名言

「ごくわずかな富の増加から得られる満足度(効用)はそれまで保有していた財の数量に反比例する」

いまでこそゲーム理論は常識のように語られますが、これが数学者フォン・ノイマンと経済学者モルゲンシュテルンの『ゲーム理論と経済行動』のもとになった考えです。

人の主観によって金銭の価値は異なるというごく当然のことなのですが、これをコントロールできるか否かで投資の判断時の考えはガラリとかわります。

ダニエル・ベルヌーイ

歪みのないコインを表が出るまで投げ続ける、というゲームを想定する。表が初めて出るときが第1回目なら2ルーブリ、第2回目ならば4ルーブリ、第3回目ならば8ルーブリ…というふうに賞金は幾何級数的に増大する、と仮定せよ。ただし、ゲーム参加料は100万ルーブリである。果たしてこのゲームに参加することで、利益を得られると期待できるだろうか。ここで、通常の感覚ならば、ゲームには参加しないだろう。しかし、利得の期待値は無限大となり、参加料の100万ルーブリを上回る。したがって「ゲームに参加すべし」という結論が出てしまう。これをサンクトペテルブルクの逆説と呼ぶ。

ベルヌーイはこのパラドックスを、「ごくわずかな富の増加から得られる満足度(効用)はそれまで保有していた財の数量に反比例する」という、現在では〈限界効用逓減の法則〉と呼ばれる論理で解決した。その発想は、同じ1ルーブリ獲得といっても、所得がゼロの状態からの獲得と、所得10ルーブリからのそれでは、その効用(価値)は同じではない、という点から始まる。上述のコイン投げゲームにおいて、人が「利益」として勘定に入れるべきなのは、各賞金額の期待値を総計することではなくて、各賞金額から得られる「効用」の期待値を総計することである。すると、もし限界効用の低下が著しい場合には、ゲーム参加の期待効用の総量が有限値となり、参加料から獲得可能な効用量を下回るだろう。